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精養軒@佐賀

佐賀の洋々軒へ行くもどうも閉店した模様。ならばと踵を返し精養軒へ。すぐ隣の病院の駐車場が使えるので大変重宝しています。11時少し前だが暖簾が揺れていた。引き戸を開けると大将がカウンターに座っていた。フライング気味に来た僕を温かく迎え入れてくれた。ラーメンといなりを注文し、給水機に向かう。カウンターの向こうでは大将がコトコトとラーメンの準備を始めた。

精養軒@佐賀
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釜の蒸気が上がる向こうで大将が動く。ラーメンが来る前にいなりがやってきた。甘すぎず酸っぱすぎず適度に薄味に仕上げられたいなりはラーメンのスープともよく合う。


いなり
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本日最初の一杯はとても深かった。


ラーメン
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豚骨の出汁がジュワと広がり、甘味がポッタリと舌の上に乗る。ロートルの上がった獣臭が鼻を駆け抜ける。長い時間をかけて太さをました年輪の様なスープのなんと懐の深いことよ。どこまでも淡く何処までも深い。シンと静まりかえる店内でこのドンブリのなんと饒舌な事か。スープを含んだぽったりとした柔らかい麺を啜る。お母さんが勝手口から入ってきてお父さんと交代する。交代で病院に行くようだ。最近たまにみかける若い男性の事を尋ねると息子だという。だけどこの店を継ぐ予定はないという事だった。

"あたしたちで終わりー。"

そういうお母さんは少し寂しそうに見えた。"寂しいですねー"と答えたけどなんと言っていいのかわからなかった。一休軒、三九に並んで佐賀のラーメンを語る上で絶対に外せない暖簾が消えるかも知れない。その現実から目を背けたかったけど、僕はどうする事もできないものね。何かを変えようと無意識にした訳じゃないと思うけどカウンターの上のハチの胡椒を多めにスープに入れた。淡いスープが姿を変える。ああ・・これも美味しいね、でも何も入れない方が好きだよ。ゆっくりと味わいドンブリが空になって至福の時もあっという間にお終い。胸が締め付けられるような思いで店を出た。


ごちそうさまでした。

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by cafeh | 2010-01-26 09:25 | 佐賀県

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